魚道(1号・2号・3号)改修後の川床調査と考察

 永平寺川は、今年の6月までに1号に続き、2号3号の魚道が完成しています。しかし、魚道の改修に伴う土砂の流出により、著しい川床の変化が見られるようになりました。下流域では、平水位において遡上そのものが困難になると思われる区間があり、また中流域ではサクラマスが遡上したとしても、産卵に適さないと思われる箇所も増えました。

 「増水」によって、多少なりともその土砂が洗われるのではと期待していました。実際に7月3日から4日にかけて下記の様な水位変化で永平寺川は増水しましたが、その後の観察で、決して状況が良くなっていないことが判明しました。
 そこで、私達サクラマス・レストレーションは、独自の方法で調査を行い、産卵期である10月までにどのような改善が必要かを考えることにしました。とにかく時間があまりありませんので、行政や地域の人達とも連携して、できる限りの手は施さなければいけません。今年のサクラマスの遡上数は例年よりも相当数見込まれますから、尚さらのことです。

「諏訪間」観測所の増水時水位変化  (夏場の平水位 0.2m)
2010年7月3日 14:00−24:00 1時間ごとの変化
0.29    0.36     0.44     0.56     0.84     0.99     0.97     0.95     1.00     1.10     1.09   (m)  
2010年7月4日 01:00−24:00 1時間ごとの変化
1.10    1.11     1.05     0.99     0.95     0.91     0.88     0.84     0.81     0.79     0.75     0.73     0.69   0.67     0.65     0.63     0.61     0.59     0.57     0.56     0.54     0.52     0.51     0.50   (m)

(写真はクリックすると大きいサイズでご覧になれます)

↓ 調査の様子 2010年8月

10-8-15-1

10-8-15-2

10-8-15-3


1号魚道〜熊野神社  
左岸側の護岸のつなぎ目ごとに上流から順に番号をつけました。
*1-7から熊野神社までは、川幅が狭く流速が速い上に、元々底石が大きい場所であったため、掘ることが困難なので調査は行っていません。

map1

川床の土質調査
*川床の状態が最も良いと思われる流芯付近で行いました。

● 1-1での調査  (諏訪間の水位20cm)

a.掘り始める前の水深
15cm
1-1A_1718.jpg

b.最初のひと掘り
1-1B_1719.jpg

c.最後のひと掘り
1-1C_1720.jpg

d.掘り終わった(掘ることができなくなった状態)水深
43cm

1-1D_1723.jpg



●1-1.2での調査 (諏訪間の水位29cm)

a.掘り始める前の水深
31cm

b.最初のひと掘り

1-1.2-B_1839

c.最後のひと掘り
1-1.2-C_1855

d.掘り終わった(掘ることができなくなった状態)水深
57cm



●1-2での調査
左岸が護岸の補強をしてあり、右岸側の川床は大きな岩になっているため調査不可能



●1-3での調査 (諏訪間の水位20cm)

a.掘り始める前の水深
27cm

b.最初のひと掘り
1-3B_1714

c.最後のひと掘り
1-3C_1715

↑ 一見して砂が少なく見えますが、流れの早い場所なので、掘る時に流出してしまいます。 ↓

1-3E_1713

d.掘り終わった(掘ることができなくなった状態)水深
47cm

●1-3.5での調査 (諏訪間の水位29cm)

a.掘り始める前の水深
37cm

b.最初のひと掘り

1-3.5-B_1834

c.最後のひと掘り
1-3.5c

d.掘り終わった(掘ることができなくなった状態)水深
59cm


●1-4での調査
 
(諏訪間の水位20cm)

a.掘り始める前の水深
20cm

b.最初のひと掘り

1-4B_1709

c.最後のひと掘り
1-4C_1710

d.掘り終わった(掘ることができなくなった状態)水深
37cm


●1-4.5での調査 (諏訪間の水位29cm)

a.掘り始める前の水深
52cm

b.最初のひと掘り

1-4.5-B_1828

c.最後のひ
と掘り
1-4.5-C_1831

d.掘り終わった(掘ることができなくなった状態)水深
70cm


●1-5での調査 (諏訪間の水位20cm)

a.掘り始める前の水深
27cm

b.最初のひと掘り

1-5B_1702

c.最後のひ
と掘り
1-5C_1704

↑ スコップの上にも砂が多いですが、実際に掘っている最中にも、多く濁りがでました。 ↓
1-5E_1703

d.掘り終わった(掘ることができなくなった状態)水深
50cm



●1-5.5での調査
 
(諏訪間の水位29cm)

a.掘り始める前の水深
42cm

b.最初のひと掘り

1-5.5-B_1822

c.最後のひと掘り
1-5.5-C_1824

d.掘り終わった(掘ることができなくなった状態)水深
63cm


●1-6での調査 (諏訪間の水位20cm)

a.掘り始める前の水深
30cm

b.最初のひと掘り

1-6B_1694

c.最後のひ
と掘り
1-6C_1696

d.掘り終わった(掘ることができなくなった状態)水深
63cm


●1-7〜熊野神社橋の様子 (諏訪間の水位17cm)

川床を掘る調査はしていないが、護岸の上から観察すると、昨年と比べ石の間を砂が埋め尽くしている様子が分かる。
熊野神社前






水生昆虫の調査
 土質調査と並行して4ヶ所で水生昆虫の生息状況も調査してみました。およそ80cm四方の範囲の石をひっくり返して、網の中に流れ込んだ水生昆虫を種類ごとにカウントします。

1-4.5-F_1829

1-3.5-E_1835

● 1-1での調査
カゲロウ類・・・5 トビケラ類・・・4 その他・・・3    

● 1-3.5での調査
カゲロウ類・・・10 トビケラ類・・・8 ヘビトンボ・・・1 ヤゴ・・・6 その他・・・4

● 1-4.5での調査
カゲロウ類・・・6  トビケラ類・・・6 その他・・・2 

● 1-5.5での調査
カゲロウ類・・・10 その他・・・6

*1-3.5については、土質調査をしたところよりも、さらに流れの速い岩盤付近で水生昆虫の調査をしたため、川床には砂が少なく石が多かったためか、水生昆虫の数、種類が他の場所よりも多かった。
*カゲロウの種類として最も多かったのが、砂底に適応した水生昆虫である「モンカゲロウ」で、カゲロウ類全体の約50%を占めており、偏った状況である。
*全体的に健全な河川の水生昆虫の生息数と比較すると、きわめて少ない印象を受けた。




2号魚道〜1号魚道  
左岸側の護岸のつなぎ目ごとに上流から順に番号をつけました。
*2-8から1号魚道までは、川幅が狭く深いために、調査は行っていません。

map2

川床の土質調査
*川床の状態が最も良いと思われる流芯付近で行いました。

●2-1での調査 (諏訪間の水位19cm)

a.掘り始める前の水深
32cm
2-1A_1762


b.最初のひと掘り
2-1B_1763

c.最後のひと掘り
2-1C_1764

d.掘り終わった(掘ることができなくなった状態)水深
48cm
2-1D_1765

●2-2での調査 (諏訪間の水位19cm)

a.掘り始める前の水深
23cm

b.最初のひと掘り

2-2B_1754

c.最後のひと掘り
2-2C_1760

↑ 一見して砂が少なく見えますが、流れの早い場所なので、掘る時に流出してしまいます。 ↓

2-2E_1759

d.掘り終わった(掘ることができなくなった状態)水深
38cm


●2-3での調査 (諏訪間の水位19cm)

a.掘り始める前の水深
30cm

b.最初のひと掘り

2-3B_1750

c.最後のひと掘り
2-3C_1751

d.掘り終わった(掘ることができなくなった状態)水深
50cm


●2-4での調査 (諏訪間の水位19cm)

a.掘り始める前の水深
27cm

b.最初のひと掘り

2-4B_1746

c.最後のひと掘り
2-4C_1747

d.掘り終わった(掘ることができなくなった状態)水深
43cm


●2-5での調査
 
(諏訪間の水位19cm)

a.掘り始める前の水深
37cm

b.最初のひと掘り

2-5B_1741

c.最後のひ
と掘り
2-5C_1742

d.掘り終わった(掘ることができなくなった状態)水深
51cm


●2-6での調査 (諏訪間の水位19cm)

a.掘り始める前の水深
36cm

b.最初のひと掘り

2-6B_1737

c.最後のひと掘り
2-6C_1738

d.掘り終わった(掘ることができなくなった状態)水深
51cm


●2-7での調査 (諏訪間の水位19cm)

a.掘り始める前の水深
35cm

b.最初のひと掘り

2-7B_1726

c.最後のひと掘り
2-7C_1734

d.掘り終わった(掘ることができなくなった状態)水深
67cm

●問題点と改善ポイント

サクラマスの産卵に適さない環境


‖論僂靴薪攤修僚去をしなければ、サクラマスが産卵できたとしても、卵に酸素が供給されないため生存率は極めて低くなる。

工事に使用したと思われる山石(角の尖った切り石)の残りが多く(特に1号魚道から下流)、除去しなければサクラマスの産卵の際、魚体に傷を与えダメージが大きくなり産卵の障害となる。

E攤修梁論僂砲茲蝓▲汽ラマスなどの大型魚が定位できる水深と流速を備えた場所が減少したため、遡上して来たサクラマスが休む場所が不足する。



サクラマスの稚魚の成育に適さない環境

づ攤修梁論僂砲茲蠖綫減虫の種類と数が著しく減少し、サクラマスの稚魚が成長する際のエサ不足が懸念される。


その他の生物の生息に適さない環境

ド發石が土砂で埋まり、底生魚にとって生息しにくい環境となったため、工事前に比べ底生魚(ゴリ、ヨシノボリなど)の著しい減少がみられる。


Ε▲罎留造箸覆訌類が付く石が土砂に埋まったことで、工事前に比べアユの生息域が、2号魚道より上流に偏るようになった。