救出したサケ稚魚たちが元気に泳いでいます

 2009年、2010年と永平寺川の下流で、町が融雪の取水口付近の浚渫工事をする前に、サケの卵を救出する作業をレストレーションが行ってきました。2011年、私たちは永平寺川から手を引きましたが、きっと地元の会の方たちが率先して行ってくれるものと思っていました。ところが、永平寺役場の建設課から電話があり、「どうしても今年もレストレーションで行って欲しい。地元の会の人たちは、そういうことは行わないと言っているので・・・」と強く依頼されました。
 建設課の話では、浚渫のスケジュールの関係で、11月中に行って欲しいとのこと。例年よりも早いためまず心配したのは、卵が発眼しているかどうかということでした。産卵してから発眼するまでに非常にデリケートな時期があり、卵を動かしたり光に当てたりするとすぐに死んでしまいます。しかしどちらにしても、浚渫で重機が入れば卵は死んでしまいますから、わずかでも助かる命があればと、実行することに決めました。

 あまりにも急な話で、11月最後の週末までに1週間を切っていました。安田さんは仲間の皆さんに連絡をとり、私は県の水産課に電話して大急ぎで「特別採捕」の許可を取る手続きをし、内水面総合センターへも飼育のお願いをしました。いつもながらに、県の鉾碕さん、センターの松崎所長さんはじめ関係者の皆さんが、快く協力して下さって本当にありがたかったです。

 九頭竜川中部漁協の岩本組合長さんは、手作りの昼食を用意してくださいました。また九頭竜川流域防災センター、ドラゴンリバー交流会の皆さんにもお世話になりました。


2011年11月27日(日) 
急な話にもかかわらず、15人(+1+ワン)の皆さんが集まってくれました!!
寒い中、一日仕事になってしまいましたね。本当にありがとうごいざます。
 
11-11-27-1


11-11-27-2


毎回参加していただける方も多く、慣れた手つきで作業は進んでいきました。

11-11-27-3



11-11-27-4


福井県内水面総合センターさんで今回も飼育していただきます。

11-11-27-5


2012年1月9日(月)
すっかり浮上し、200匹ほどのサケ稚魚が元気に泳いでいました!!

12-12-9


放流できる日まで、時々顔を見に行きたいと思っています。今年は別のところでサクラマスの飼育も行ってもらっているので、子どもたちと、「サケとサクラマスの比較観察会」なんていうのが開催できると良いですね!!

サケ旅立のつどいで一緒に放流しました

2011年3月5日(土)九頭竜川流域防災センター(九頭竜川資料館)にて、NPO法人ドラゴンリバー交流会主催で「サケ旅立のつどい」が行われました。里親になった小学校の皆さんと一緒に、私たちが救出したサケも一緒に放流しました。

国土交通省側の事情で、今年が最後となったこの催し。本当に沢山の子ども達が今までサケを通して、自然環境の多くのことを学んできました。ここまで築き上げてこられた加藤館長さんはじめスタッフの皆さんに、心から敬意を表したいと思います。なくなってしまうのは大変もったいないですよね。私達が何かの形で、引き継ぐことができれば良いのですが・・・。

11-3-5-1
 


11-3-5-2


11-3-5-3


11-3-5-4



私達が救出した卵は内水面総合センターで育ててもらいましたので、同じ永平寺川産でも他のどの学校の稚魚よりも大きく育っていました。志比南小学校の皆さんに、私達の稚魚も放流してもらいました。

11-3-5-5


11-3-5-6


本道さんって、やっぱりすごいんです。

11-3-5-7


一部は内水面総合センターの展示用水槽に残していただきました。私達の紹介もしていただき、ありがとうございます。

11-3-5-8


11-3-5-9

急遽サケの卵の救出を行うことになりました

「今年はやることはやったし、やれやれやね〜」と気を抜いていたら、永平寺町役場から「永平寺川で融雪の取水口周りの浚渫を今年もするのだが、その前にど〜しても卵を救出して欲しい」と頼まれ、安田さん頼りで強行。県水産課さんにも大急ぎで「特別採捕」の許可を取っていただきました。
2010年12月12日(日) 皆さん、ホント急な話にもかかわらず、ありがとうございました。県、町、漁協からも立会いと応援をいただきました。

10-12-12-1


10-12-12-2


10-12-12-3


10-12-12-4


10-12-12-4


卵は昨年同様、県内水面総合センターさんで預かっていただくことになりました。
2011年1月16日(日)の様子 スクスク育っています。良かったですね!!
11-1-16


救出したサケとサクラマスの稚魚を永平寺川に帰してあげました

 冬に永平寺川で救出したシロザケとサクラマスの卵。福井県内水面総合センターさんに育てていただいき、5〜7cmほどの稚魚に成長しました。2010年3月30日 迎えに行って、永平寺川に帰してあげることになりました。
 今まで、何かあるごとに大変な天気で大変な思いをしたことが度々ありましたが、そんなことを全て吹き飛ばしてくれる位の、素晴らしいお天気に恵まれました。愛知県、岐阜県、東京都から駆けつけて下さいましたが、救出の時のメンバーがほぼ揃っていて良かったです。

↓ まずは川に放流する前の温度合わせについて教えていただきました。
10-3-30-1


↓ 水を減らしてから稚魚をタモで救い出します。
10-3-30-2

↓ NHKの本道さん、吉野さん、いつも同行して下さって、ありがとうございます。
10-3-30-3

 松崎さん始め内水面総合センターのみなさん、本当にお世話になりました。

 そのまますぐに、みんなで永平寺川へと向かいます。サケもサクラマスも、
それぞれ救出した場所に放流することにしました。

↓ 水温8℃〜9℃ センターの飼育槽より2〜3℃低めです。
10-3-30-4

↓ いや〜卵を救出したあの日の苦労が懐かしいな〜。10-3-30-5

↓ サケの稚魚は放流すると、ゆっくりと下流へと下って行きました。
10-3-30-6


 その後、サクラマスの稚魚と共に上流の産卵場の造成場所に向かうと、『永平寺川にサケ、サクラマスの遡上を実現する会』の伊藤会長さんと小林さん、小林さんのお孫さん達、福井新聞社『コウノトリ支局』の記者の奥田さんとカメラマンの高橋さんが待っていてくれました。また魚道の改修工事をしていたのですが、濁りを抑えるために、わざわざ工事を中断して下さいました。現場監督の矢部さん、ありがとうございます。(矢部さんは私の息子の大親友のお父さんです)

↓ サクラマスの稚魚は放流すると、ゆっくりと上流へと上って行きました。
10-3-30-7

↓ かなり気合いの入った撮影です!!サクラマスはいつでもスターですね〜。
10-3-30-8

↓ みんなに優しく見守られて、幸せな稚魚たちですね。
10-3-30-9


↓ 今まで沢山のサクラマスの稚魚を見てきたのですが、
今日の子達ほど綺麗な稚魚は見たことがありません。
10-3-30-10

↓ パーマークが細く、側線よりやや上部についているのは、サクラマス×サクラマスの
子どもの証拠だと思っています。サケにより近い感じがします。
10-3-30-11

 この後、私の友人の経営する近くのカフェに行き、みんなでお昼。食後には、メンバーのひとりであるエミちゃんがお誕生日だったので、バースデーケーキを分け合っていただきました。

 同じ幸せを分かち合える仲間がいるって、本当にいいものですね!!


 

サクラマス&サケのチビ達に会いに行ってきました

 飼育で大変お世話になっている福井県内水面総合センターに、サクラマスとサケの放流について打ち合わせに行ってきました。決定事項に関しては、後日こちらのブログでお知らせいたします。

 打ち合わせの後、飼育室に入れてもらって、チビたちに会ってきました。サケは約160尾、サクラマスは約190尾が、すくすくと育っています。
 サケは、複数の産卵床から採っているため、餌付けしたものから、まだ孵化していないものまでバラつきがありました。サクラマスは、全員兄弟ですから、ほぼ同じ様に成長しており、1月28日より餌付けが始まったとのことです。しかし、サケと比べて警戒心が強く、餌付くまでに数日かかったそうです。仔魚の時から、サケとサクラマスの性格の違いが出るのですね〜面白いですね!!見た感じも、形は似ていますが、サクラマスの方が茶色っぽい色でした。サケは、じきに銀色に輝き始めるのでしょうね〜。

 ↓ サクラマスの仔魚にエサを与える安田さん。自分たちで造った産卵場で産まれた仔魚だけに、感激もひとしおです。・・・で、安田さん、釣りは?・・・もう、九頭竜、解禁してますけど・・・。
10-2-2-1

↓ 安田さんからエサをもらって、嬉しそうに食べるサクラマスの仔魚。


美しい感想

 今回のNHKの番組は、私も少し映っていたので、沢山の方から言葉をかけていただいたり、メールをいただいたりしました。嬉しい感想ばかりでしたが、その中でも特に印象深かったものをご紹介します。年輩の女性で、小学校の先生をされていた方です。

 「サケの卵がやっと見つかり歓声が上がり、川底の様子が映った瞬間、涙が込み上げてきました。残されていた卵は僅かでしたが、綺麗な淡いオレンジ色で、それは私には、金や宝石よりも遥かに尊いものに思えたのです・・・」

 番組は、その方の心の琴線に触れるものだったのかも知れません。そして感想を、美しい言葉で返して下さいました。その言葉もまた、私の心の奥深くに響くものでした。
 
 

永平寺川 造成した産卵場で サクラマスの卵を救出しました

 昨年、レストレーションが造成したサクラマスの産卵場。その数十メートル上流で、落差工の魚道が改修されることになっています。福井県土木事務所さんとの打ち合わせの際、仮設も含めて、できるだけ産卵床には考慮して工事をしていただけるとのことでした。しかし、アルカリが流れるなど、多少の水質の悪化は否めない。私達は、昨年の12月に下流で浚渫工事前のサケの卵の救出を行っていますが、そんな話を聞いてしまうと、サクラマスの卵も救出したいと、居ても立ってもいられなくなってしまいました。で、またまた工事を待ってもらって、救出作戦です。

  2010年1月12日
、尋常ではない状況で川に入らなければいけないのは分かっていたので、他には声をかけず、安田さん、中村さん、私だけで永平寺川に入りました。NHKの本道さんと吉野さんは一緒に水没する覚悟で同行してくれました。雪こそ落ち着いていましたが、気温、水温ともに6℃、冷たい雨が降り、産卵場を作った時より20cm以上増水しています。幸い濁りは少なく、箱メガネ片手に作業開始。
  なんと安田さんは、一発で産卵場所を探し当てました。サケの救出の時も感心したのですが、安田龍司さんの川を読む天性の感覚は、フライ・フィッシングだけでなく、こういう時にも威力を発揮するのです!!孵化してヨークサックの残る仔魚が、次々と見つかりました。手作業なので、長い手袋の中に水が入ってきてしまいましたが、夢中で掘り続けます。受け入れるタモを引き上げる度に、歓声が上がります。しかし、次第に手足の感覚がなくなってきてしまい、新年早々、永平寺川で5人も倒れていたのではシャレにならないので、1時間ほどで終了。

 今回も福井県内水面総合センターさんに飼育をお願いしてあったので、すぐに仔魚を搬送。着いてすぐにセンターの方にカウントしてもらうと、約200尾。サケの時は、14人が400メートル範囲を1日がかりで、250粒の生きた卵しか見つけられませんでしたが、今回のサクラマスは、3人が1箇所を1時間ほど掘って、200尾の仔魚!!もっと状況が良ければ、まだまだ見つかっていたはずです。多くを救出できなかったのは残念ですが、いかに造成した産卵場が有効であったか・・・そのことを確信できたことは、私たちの心を一気に温めてくれました。

10-1-12-1



10-1-12-2

パーマークもうつっていますね
10-1-12-3



10-1-12-5


内水面総合センターさん またまたお世話になります
10-1-12-4

永平寺川下流で サケの卵を救出しました

 2009年12月8日、永平寺川の下流で、サケの卵の救出を行いました。福井の冬とは思えないほど暖かく良いお天気・・・。もしかしたら今日は、安田さんは来ないのではないかと心配になったほどです。
 朝10時に法寺岡(ほうじおか)橋に集合。岐阜からは斉藤彰一さん達4名。愛知からは齊藤明さん達3名。九頭竜川中部漁協の岩本組合長さん1名、福井県の水産課と内水面総合センターから3名、NHKの本道さんと吉野さん、安田さんと中村さんと私。
 県の研究員の方々に加え、岐阜の斉藤さんは『石徹白川 在来渓魚を殖やす会(C&R)』(1997年−2003年)の代表として活動をされてきた方で、大変心強い皆さんが駆けつけて下さいました。

09-12-8-8

 
 「何かあったら知らせてね!」と言われている新聞記者さん達には、お知らせしようか迷いました。恐らく県内でもこういうことは初めてでしょうから、喜んで取材に来てくれるのでしょうけど・・・。サクラマスなら全然良いのですが、今回はサケ・・・。サケと言えば九頭竜川資料館が、人工授精や稚魚の飼育など、子ども達の環境学習に取り組んできており、地域では、サケ=永平寺川=九頭竜川資料館というイメージが定着しています。私達がサケで目立つことは差し出がましい気がしたので、今回は広報なしで静かに行うことにしました。といっても、NHKの本道さんは別です。本道さんは永平寺川の一部ですから。

 下流から上流へと・・・法寺岡橋をくぐり国道416号線まで、お昼を挟んで4時近くになるまで、産卵床を堀り続けました。距離にして400メートルほど。しかし、明らかに川床を叩いた跡でも何も見つからなかったり、見つかっても卵の数が非常に少ないのです。死んでしまって白くなっているものも多く見つかりました。結局、卵が少しでも見つかった産卵床は、合計で7つしかありませんでした。あんなに沢山のサケが産卵していたのに・・・本当なら3000〜5000粒の卵が、1尾のメスから産み落とされているはずです。
少ない原因は・・・
◎ ウグイを主とした天敵が、卵を食べてしまった。
◎ サケの数に対して適した産卵場が少な過ぎる。
   後から来たサケが産卵床を再び掘り起こし、前の卵が流されてしまった。(重複産卵)
◎ 水通しの悪い場所は、極端に死卵が多い。

↓ 漁協さんが看板を貸してくれました 
09-12-8-1


↓ 土木事務所風に書いてみました 念のためサクラマスの許可も取っています
09-12-8-2


↓ 一番下流の産卵床から 発眼卵に交じって孵化した仔魚が見つかりました!!
09-12-8-9


↓ 石積みとブロックの護岸壁 国土交通省と県の管理区間の境目になります
09-12-8-3
 

↓ アンリミテッドの時から 何かと応援してくれている松山さんも来てくれました
09-12-8-4


↓ 組合長さんも臨時総会開催前のお忙しい最中 ありがとうございます
09-12-8-5


↓ 国道416号線の橋の下 この辺りは流れも遅く 水質も悪いです
09-12-8-6


↓ 近所の人達が次々と集まって来て 川をのぞいていました 
皆さんとっても好意的に 私たちの様子を見守ってくれていました
中には5日前のNHKの番組を見て レストレーションのことをを良くご存じの方も!!
「サケの卵が助かるんだね」と 嬉しそうに笑う近所の女の子が印象的でした
09-12-8-7


 川から上がると、大急ぎで県の方達が内水面総合センターまで、卵をガーゼに挟んで搬送して下さいました。私達も片づけを終え、センターへと向います。すでに閉館しているセンターの裏口から入り、薄暗いロビーで待っていると、何だか病院へ時間外の面会に来たような気分になってきました。やがて奥から手術を終えたばかりの担当医が・・・ではなく、飼育の研究員の方が出て来て下さって、私たちを飼育室の中へ案内してくれました。結局、死卵を取り除くと、300粒ほどしか残らなかったということです。

 安田さんが、川で見つけた仔魚をペットボトルに入れて、自分で持って来ていました。研究員の方に「こちらも一緒にお願いできますか」と渡すと、「あぁ、もう1匹いてましたよ」って・・・。何と搬送中に、車の中でもう1匹が孵化したようなのです!!齊藤笑子さんが、「卵を採った時、中でクルクル回っている」のを確認していて、どうやらその子に間違いなさそうです。サケの子も、車の中で生まれることがあるんですね!!卵が思った以上に少なくて、皆ちょっと肩を落とし気味でしたが、その場のムードを明るくしてくれた仔魚でした。

 今回のサケの卵の救出は、数こそ少なかったのですが、本当に多くのことを私達に教えてくれたと思います。翌日、私は一番に九頭竜川資料館へ電話を入れました。加藤館長さんに、「資料館がされていることは、永平寺川にとって、とても大切な事だということがよく分かりました」と、お伝えしました。現在、九頭竜川資料館では、永平寺川で漁協が特別採捕したサケの親魚から人工授精を行い、3000尾の仔魚が順調に育っています。

09-12-8-10


↓ 福井県内水面総合センターの飼育室です お世話になります
09-12-8-11


09-12-8-12


試し堀り サケの発眼卵を発見

  サケの卵を救出するには、福井県水産課に申し出て、県知事から「特別採捕」の許可を取らなければいけない。ちょうど別件だが、サクラマスに関する展示のことで、水産課の担当者の方と電話で打ち合わせをする事があり、卵の救出の話をすると、すぐに用紙を持ってきて下さるとのこと。「それで、もうひとつお願いがあるのですが・・・救出した卵を県の内水面総合センターで預かっていただけませんか?」
 数日後、申請書の様式といっしょに、良い知らせが届く。卵を受け入れていただけるだけでなく、救出の時も現場に立ち会って下さるとのこと。このことは私にとって、最大級に嬉しい出来事でした。(その胸の内は、いつか機会があれば書きたいと思います)

 いい感じで進みそうなので、まず事前に、サケの卵が実際あるかどうか、発眼しているかどうかを確かめようということになった。卵が発眼していれば、移動しても負担が少なくて済む。
 2009年12月1日、安田さん、中村さん、私で下流の法寺岡付近に入り、試しに川床を掘ってみた。サケの産卵床と思われる川床を、手で一つ一つ掘り起こす作業だが、2箇所目ですぐにサケの卵が見つかる。白くなった死卵も出てきたが、生きた卵はすでに発眼していた。さっそく内水面総合センターに行き、写真を見てもらって、本番の打ち合わせをする。1週間後の12月8日に実行することになった。
 それからお蕎麦を食べに3人で勝山まで。車の中で安田さんが、平日の救出作戦に参加してもらえそうなメンバーにコンタクトを入れる。電話の先は、いつもながら全国区なのがスゴイ!翌週という急な話にもかかわらず、皆さん快く参加を約束してくれた。
 私は他にもいろいろな「会」に入っているけれど、一つのことをこんなに素早く行動に移せるのは、我レストレーションだけだ。

09-12-1-1


09-12-1-2

永平寺川の浚渫工事など 関係者で話し合いました

 県外から釣り人がやって来て産卵場を造成したり、NHKが時折カメラを向けていたり、新聞の報道も手伝って、永平寺川には沢山の風が吹いた。サケの回帰が多かったこともあり、周辺に住む人達だけでなく、遠い所からも観察に来る人が急増した。流域の人達も、だんだん永平寺川の持つ価値に気がつき、目を向けるようになってきた。

 永平寺川の下流域では、たまった土砂をさらう治水のための浚渫(しゅんせつ)工事が、定期的に行われている。また道路の融雪装置の取水口が法寺岡(ほうじおか)橋の下流にあるため、12月上旬には毎年重機が入り、その付近の土砂をさらう。そのことを知っている法寺岡の住民の方達が、私の顔を見ると、「また今年も川底さらうんかの?サケいっぱい卵産んでるのに。可愛そうや・・・」と、口を揃えて話す。
 魚道の改修の件もあり、福井県土木事務所や永平寺町建設課の担当者と連絡を取り合うことが多くなったが、いつになく工期のことを気にされていた。「現場」に行くと、同じように住民の方達から「可愛そうやろ」と言われるらしい。一方、九頭竜川中部漁協は、「アユの友釣り」と「落ちアユ漁」の行われる6月から11月までの工事に関しては非常に渋いが、サケやサクラマスの産卵に関しては、あまり具体的に認識されている様子ではなかった。

 住民の方達のそういった感情は、大切にしなければいけないと思う。それに答えるためにも、関係者が正しい知識を共有していなければいけない。そこで、さっそく下のような資料を作ってみた。同時に、改修される魚道付近も含めて、「アシの保全」にも触れている。浚渫はもちろん大切であるが、「多自然型川づくり」の一環として考えることは、これからの重要なテーマではないだろうか。

 2009年11月25日、私の方から声を掛け、永平寺町の役場の会議室で関係者が集合。福井県土木事務所、永平寺町役場建設課、九頭竜川中部漁協、そして安田さんと私。作った資料を見ながら、サケとサクラマスの生活史についても説明。会議はとても和やかに進んだ。そして皆で話し合った結果、降雪時期や流量、漁期との兼ね合いも含め、下流域の浚渫工事は12月に行うしかないという結論に達する。
 そこで安田さんから「12月になれば産卵も落ち着くと思うので、一度川に入りサケの卵を救出したい」と提案がある。「それなら救出が終わるまで工事を待ちますよ」と、県からも町からも快い返答をいただいた。
 「協働」は、順調に進んでいる。


↓ こうしてみると、サケよりもサクラマスの方が、はるかに支流との関わりを持って生活しているということが、よくわかりますね!裏を返せば、なぜサクラマスがサケより少ないか・・・ということ

(画像をクリックし、別ウィンドウが開いたら、さらに画像をクリックすると拡大され見やすくなります)

| 1/1PAGES |